ガンマナイフの副作用・リスク

どのような治療であっても、治療後に副作用や後遺症が伴う可能性はあります。ガンマナイフも同様に、体への負担が少ない治療である一方、治療後に一時的な症状やまれな合併症が起こる可能性があります。このページでは、ガンマナイフ治療に関連する副作用や後遺症について解説します。

ガンマナイフ治療に伴う副作用とは

ガンマナイフは身体への負担が少ない治療法とされていますが、照射後に一時的な副作用が見られることがあります。代表的なものは頭痛・吐き気・倦怠感などで、数日以内に改善することが多い症状です。入院中や外来で経過を確認しながら対応するため、過度な心配は不要ですが、不安な症状があればすぐに主治医に相談してください。

放射線による影響(腫瘍膨大や放射線壊死)

治療後の数週間から数か月の間に、腫瘍が一時的に膨らむ「一過性膨大」が起こることがあります。これは放射線の効果が出る過程で見られる変化で、時間の経過とともに落ち着いていくことが多いです。
また、まれに数か月から数年後に「放射線壊死」と呼ばれる変化が起こり、正常な脳組織が障害を受ける場合があります。発生頻度は低いですが、症状が強い場合には薬による治療や外科的処置が必要になることもあります。

認知症リスクについて

インターネット検索では「ガンマナイフ 副作用 認知症」という言葉を目にすることがありますが、ガンマナイフ治療そのものが直接認知症を引き起こすことはありません。
全脳照射のように広範囲へ放射線を当てる治療では記憶障害や認知機能低下が報告されていますが、ガンマナイフは病変部に限局して高精度に照射するため、認知機能への影響はきわめて少ないと考えられています。ただし、脳腫瘍そのものや再発の影響によって認知症に似た症状が出る場合もあるため、注意深い経過観察が必要です。

その他の後遺症の可能性

照射部位によっては、視覚・聴覚・運動機能などに影響が及ぶ可能性があります。例えば聴神経腫瘍の治療後に聴力の低下が見られることがありますが、これは腫瘍の位置と神経の関係によるもので、全ての患者さんに起こるわけではありません。症状の可能性については、事前に医師が詳しく説明を行います。

副作用や後遺症への対応

当院では治療後に定期的なMRI検査と診察を行い、腫瘍の状態や副作用の有無を確認しています。万一、放射線壊死や症状の悪化が見られた場合は、ステロイド投与やリハビリ、必要に応じた追加治療で対応します。患者さんが安心して治療を受けられるよう、長期的なフォロー体制を整えています。

まとめ

ガンマナイフは低侵襲で安全性の高い治療法ですが、副作用や後遺症がまったくないわけではありません。頭痛や倦怠感などの一時的な症状から、まれに放射線壊死のような遅発性の影響まで、注意すべき点はいくつかあります。
発生頻度は低く、多くの場合は医師による適切な経過観察と対処でコントロール可能です。安心して治療を受けるためには、リスクと効果を理解した上で医師と十分に相談することが大切です。