ガンマナイフとは
ガンマ線(放射線)を用いて、まるでナイフで脳病巣を切り取るような治療であることからガンマナイフと呼ばれています。これは、開頭手術をしなくても、頭蓋内・脳内病変もしくは機能的脳疾患の治療・コントロールを可能とした、きわめて低侵襲な脳外科治療の一つです。
ガンマナイフの中には、192個のコバルト(Co60)が円錐状に整列して並べられており、それぞれからガンマ線が放出されて中心の一点で集中する(焦点形成)ように設計されております。この焦点に脳内の目標となる病変を一致させてこの部分への高線量照射による治療を可能にしています。このため、病変への放射線は非常に強いにもかかわらず、周囲の正常な脳神経や脳組織への被曝は少なく抑えられております。その結果、神経への影響や合併症の可能性はとても低く、かつ標的となった脳内の病変のみに高エネルギーの放射線照射治療が行えるのです。それに加えて、身体のほかの部分へは放射線による影響が少ないことから、治療の後に皮膚炎・脱毛・骨髄機能抑制を起こすことはまずありません。この点が、通常の放射線治療と大きく異なります。さらにその上、機械的精度はきわめて高くて0.3mm以下の誤差で治療可能です。治療に必須であるCT・MRI・脳血管撮影など画像検査の質的な向上もめざましく、これら高度な画像診断検査も治療成績の向上に大きく貢献しています。
ガンマナイフの利点
正確性
放射線照射の精度誤差は0.3mm以内と極めて小さく、周囲の正常組織への影響はほとんどありません。このため、周囲の脳神経を傷つける危険性も極めて低く治療を受けていただくことができます。
安全性
治療中に頭部が動いてしまった場合、常に頭部の位置を計測しながら治療を行っているため、自動的に治療器機が停止する仕組みになっています。また、低侵襲、合併症からの回避、開頭手術に伴う全身麻酔の危険性や全脳照射による脱毛・骨髄抑制などはありません。
入院期間
通常2泊3日の入院期間で済みます。開頭手術と比較して、手術前後の安静療養期間が短縮できます。生活の質(Quality of Life: QOL)の向上に大きく貢献しております。(1996年4月より健康保険が適応されております。)
深部病巣にも対応
重要な組織が密集している脳内で正常な組織に与える影響を最小限にして、治療を行うことができるため、開頭手術が困難である脳深部の病巣に対しても治療が可能となりました。
頭部を固定して治療する理由
頭部を固定することで、治療中に頭部が動くことなく、目標の位置と放射線の焦点がずれることがないよう位置決めを正確に行うためです。