ヘルニコア【ヘルニア治療】

「椎間板内酵素注入療法」とも呼ばれ、現在日本では「ヘルニコア」のみが腰椎椎間板ヘルニアの化学的髄核融解術を行う薬剤として認められています。

基本的に2泊3日の入院となり、局所麻酔での治療となります。

当院では豊富な知識と高度な技術を持った日本脊椎精髄病学会認定指導医による診療・治療を行っています。

1. 化学的髄核融解術とは

化学的髄核融解術は、椎間板内に酵素を含んだ薬剤を直接注射して、ヘルニアによる神経の圧迫を弱める方法です。「椎間板内酵素注入療法」とも呼ばれ、現在日本では「ヘルニコア」のみが腰椎椎間板ヘルニアの化学的髄核融解術を行う薬剤として認められています。  

2. ヘルニコアの概要

ヘルニコアの有効成分であるコンドリアーゼは、髄核の保水成分を分解する酵素です。 そもそも椎間板は背骨と背骨の間に挟まれ、クッションのような働きをしています。その中心に位置するのが髄核ですが、この髄核が何らかの理由によって外に飛び出し、神経をあっぱくするのが腰椎椎間板ヘルニアです。髄核は保水成分であるブオテオグリカンを多く含み、水分を含んで膨らんだ状態にあります。これは、飛び出して神経を圧迫しているヘルニアの髄核でも同じです。 この髄核に適切な量のヘルニコアを注入すると、コンドリアーゼによって髄核内の保水成分が分解され、水分による膨らみが適度にやわらぎます。その結果、神経への圧迫が改善し、痛みやしびれが軽減すると考えられています。

椎間板ヘルニアの形態分類とコンドリアーゼの適応

腰椎椎間板ヘルニアは、その形態及び後縦靭帯との位置関係により4つの型に分類されます

3. 化学的髄核融解術(ヘルニコア投与)の流れ 

  1. レントゲン台に横になり体の位置を調整します。X線でヘルニアのある椎間板を確認しながら、針を刺す場所を決めます。 
  2. 針を刺す位置を消毒し、局所麻酔を行います。
  3. ヘルニアのある椎間板内に針を刺し、ヘルニコアを注射します。 
  4. 病棟に戻りしばらく安静にします。薬による副作用が無いかなどの確認をします。
    ※椎間板の位置にもよりますが、約30分で終了します。
    ※手術室で行います。

4. ヘルニコア投与決定から退院までの流れ

当院では基本的に2泊3日でヘルニコアの投与を行っています。
以下の流れと異なるケースもあります。
詳しくは主治医にお尋ねください。

外来受診

  • X線やMRI画像よりヘルコニアの適応があるか判定します。 
  • ヘルニコア適応となった場合、医師より詳細な説明を受けます。 
  • 手術日を決め入院前に手続きを行います。

入院1日目(入院)

  • ヘルニコア投与の詳細説明、注意点、流れなどの説明を受けます。

入院2日目(投与日)

  • 病室にて注射・点滴などの準備を行い、手術室に移動します。 
  • ヘルニコア投与を受けます(約30分)

髄核融解術による治療経過

5. 化学的髄核融解術の注意点

  • 薬による以下のようなアナフィラキシーが発現する可能性があります。
    アナフィラキシーとはアレルギー反応の1つで短時間に全身にアレルギー症状が出る反応です。
    • 【皮膚症状】皮膚のかゆみ、じんま疹、紅斑・皮膚の発赤など
    • 【呼吸器症状】声のかすれ、くしゃみ、のどのかゆみ、唇のはれ、息苦しさ、呼吸困難など
    • 【消化器症状】腹痛、吐き気など 【視覚症状】視野が狭くなるなど
  • 過去にヘルコニアによる治療を受けた方は再度ヘルニコアの治療を受けることはできません。 
  • 一過性に腰痛が悪化することがあります。
  • 以下のような患者さんはヘルコニア治療が受けられない可能性があります。主治医とよく相談してください。 
    1. アレルギー体質の方
    2. 過去に「腰痛不安定性」の疑いがあると医師から言われたことのがある方
    3. 変形性脊椎症、腰椎すべり症、脊柱管狭窄症などヘルニア以外の脊椎疾患のある方
    4. 骨粗鬆症、関節リウマチのある方
    5. 妊娠中の方、妊娠している可能性のある方、授乳中の方

6. よくあるご質問

Q
すべてのヘルニアに適応がありますか?
A

ヘルニアの出かたによって効果が異なるため、脊椎専門医による診断が必要です

Q
ヘルニコアは何回でも使用することができますか?
A

ヘルニコアはアレルギーの危険があるため、一生に1回しかできません。

Q
ヘルニコア実施時に痛みはありますか?
A

局所麻酔時に痛みがありますが、その後は麻酔が効いているので痛みを感じることはありません

Q
ヘルニコア注射後どのくらいで仕事復帰できますか?
A

退院後はすぐに仕事復帰が可能です。

東京近郊での受診は下記リンク先(外部サイト)をご覧ください。

外来担当医表

医師紹介

かない ひろし

金井 洋

院長

専門分野

整形外科一般、脊髄、関節

資  格

東京医科大学卒

日本整形外科学会整形外科専門医

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えんどう けんじ

遠藤 健司

専門分野

整形外科一般、脊椎脊髄、骨粗しょう症、頸椎、腰椎、慢性疼痛

資  格

東京医科大学卒

東京医科大学病院整形外科准教授

日本専門医機構認定整形外科専門医

日本整形外科学会脊椎脊髄病医

日本脊椎脊髄病学会指導医

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こやま たかし

小山 尊士

専門分野

整形外科一般、足、関節

資  格

東京医科大学病院整形外科臨床准教授

日本整形外科学会認定整形外科専門医

日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医

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くによし しょうた

國吉 祥汰

専門分野

整形外科一般

資  格

愛知医科大学卒

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にしだ じゅん

西田 淳

専門分野

整形外科一般、骨軟部腫瘍、肩関節、手、腰椎、微少外科

資  格

岩手大学卒

東京医科大学病院整形外科教授

日本専門医機構認定整形外科専門医

日本リウマチ学会指導医・専門医

日本リウマチ財団登録医

日本リハビリテーション医学会指導医専門医・認定臨床医

日本手外科学会専門医

日本がん治療認定医機構暫定教育医・認定医

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つじ はなこ

辻 華子

専門分野

整形外科一般

資  格

東京医科大学病院整形外科

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